ミックスボイスの出し方

ミックスボイスとかいうとなんか大層なものに思えるが、要は基音と倍音のミックス声というもの。現代音楽のボーカルは皆この声で歌っていて、倍音部分を強調するか、基音部分を強調するかで歌声の成分を変化させて雰囲気を作ったりしている。

裏声と地声のミックスということでミックスボイスと呼ばれたりもするようだが、その言葉だと、感覚がつかめないので、いつまで経っても出すことができず、結果ミックスボイスが伝説的に扱われるが、何てことはない開いた喉で、声帯を閉塞する感じがわかれば簡単に出せる。どこまで高音、低音が出るかは個人差があるが、地声からは想像できないような音域で歌うことができる。──というかこの声以外で、まともに現代の高低差の激しい歌を歌うことは不可能に近い。

「裏声を鍛えると出せるようになる」とか適当なことをいう人がいたりもするが、それを信じると何年かかってもうまくいかなかったりする。確かに裏声と地声の何が違うのかというと基音成分の多寡ではあるが、裏声でまともに歌声を出そうとしても難しく、裏声は裏声の出し方でしかないので、ミックスボイスを使いながらでも、裏声を出すと明確に違いがわかる。これを聞き分けられない人はない。ビジュアル系バンドのボーカルがよく裏声を混ぜて雰囲気を出したりするが、すぐわかるだろう。要は本当の基音声は裏声の延長にはないということだ。

本当の基音を出すために必要なのは裏声ではなく、こもり声だ。鼻にかかるような声。たまにその声で喋っている人がいるが、ミッキーの声を思い浮かべると近い。裏声の一種ではある感じだが、裏声が高音しか出せない喉の使い方なのに対して、ミッキー声は低音も出せる。あの声で高低様々な音程で声を出すと基音声になる。「裏声を出そう」とは思わず、「ミッキー声を出そう」と思うこと。歌手で言うと基音声がかなり強いのが小野正利だ。倍音成分がかなり少ないので、ロックを歌わせると微妙だが、あの高い音域でまともに歌える歌手は日本だとほとんどいない。メタルバンドのボーカルに転身したのは正解だと思う。

ちなみに、歌を歌う声の基本はこの基音声以外にないと言っても過言ではない。地声でもある程度まではいけるが、高低差の激しい曲になると、音程を変えるのが難しくなる。地声を取り入れた歌唱法で歌う歌手もいるが、その歌手の声だから地声でいける歌であっても、人によって地声の高さは違うので、下手に真似して地声で歌おうとしても、変声点と呼ばれる壁がその歌手の変声点とは別の部分で生まれるから、音程が合わせられなくなるのだ。歌のための喉の使い方は高音から低音まで出せるミッキー声だけで良いと肝に銘じておこう。

ミッキー声で高音のみ出せばヘッドボイスと呼ばれる声になる。これは息漏れのない裏声と言われているが、なぜ息漏れしないかと言うと、裏声の出し方を鼻の奥の方で響かせるようにしているから、音が分散していかなくなり、艶のある太い声に聞こえるためだ。中音域のミッキー声であれば、チェストボイス。地声と同じくらいの音域だがミッキー声で出すので、地声とは全然違う声なのは言うまでもない。さらに下げていくとエッジボイス(ボーカルフライ)とか言われる声になるが、ここまで出す必要がある曲は滅多にないので、発声練習でやる程度。音程を安定させる練習になる。ラップとかで意図的に使ってみることはあるかもしれない。出し方はミッキー声の喉のまま、呪怨のブリブリブリみたいな喉の震わせをやる感じ。ミッキー声の発声は喉を開いた状態の発声ということだ。「喉を開け」と言われてもさっぱりわからないが、「ミッキーを真似しろ」と言われたらわかるだろう。

ミックスボイスはこれに声帯の閉塞をかけて倍音成分を強くしてくことで出せる。間違っても喉を閉めてはいけない。ある程度は喉を閉めても高音低音は出せるので勘違いしやすく、本当にタチが悪いのだが、喉はミッキー声をキープしたまま、声を金属質にしていくイメージだ。たとえば喉を閉めて高音を出そうとすれば、力強く大きい声で高音が出る気がするが、音程が微妙に外れて合わせられないし、力んで息が続かず、辛いばかりだ。喉はリラックスしたミッキー声の喉のキープする。そうなると使える部分は限られていて、意識的には上顎の付け根あたりの部分を薄くしていく感じ──とはいえ、人に伝えようがない。音を聞いて似せるしかない。たとえばミッキー声の喉をキープしながらは絶対として、プロの歌手の声を真似してみるのが良い。オススメはミスチルとか、郷ひろみとか。

ミックスボイスが高音に限らず、どの音域でも出せるようになってくると、音程の変化に楽に対応できるようになっていく。しかし、歌手がひたすらミックスで歌っているわけでもなく、音域によってはヘッドボイス、チェストボイスを多用してて、ミックスへの移行がなめらかで(普通プロは皆なめらか)全部ミックスで歌っているように勘違いすることもあるが、それはその歌手の声帯の場合その歌い方が一番良い響きが出せるという判断、もしくはクセでの発声なので、全く同じ出し方をしないといけないわけではない。自分の声に合わせて無理なくだせるように翻訳は必要だ。

1/11/2016 12:10:00 AM