ショートカットはスピードを上げない

ショートカット信仰みたいなものがあり、ショートカットを使いさえすればスピードが上がって、作業効率が上がるとか思っている人が多いが間違っている。ライフハックとか言ってショートカットを勧めてくるのは怪しい。まあ出来てる気になれるのがライフハック(笑)という定義であるとすれば間違ってはないが、間に受けるのは時間の無駄なのでやめたほうが良い。

ショートカットはなるべくミスをなくすために使うもので、ミスがないから作業効率が良くなるということであればまあわかる。あとはマウスで移動してメニューを開き、コピーするというややこしい作業の精神的な負荷を単純動作で済ませるために気分良く作業ができるから作業効率が上がるというのもわかる。

コンテキストからすぐにアクセスできるならスピード的には問題が無くなるし、ショートカットを思い出して使うほどの負荷もかからないので正確性に自信があるならコンテキストが最強である。

いやいや、ショートカットキーを目にも止まらない速度で押すから何よりも速いし、という人は多分定型化された作業しかやっていないということだ。それほど考えることなくやっているのだろう。それだけ使い込んだソフトを使い続ける環境にあるということか。別にそれならそれで良いが、初めて使うソフトではほとんど役に立たないばかりか、害もあったりするので気をつけたほうが良い。まあ、知らんけど。

パソコン作業で最も時間がかかるのはどこかというと、間違いなく「考える」時間だ。作業そものは全くスクリプトが利用できないちょっとずつ個人の自由な変化が入っている単純作業とかじゃない限りそれほど時間はかからないようにできる。やり方をミスったり、あえて面倒なやり方を選ばなければという意味でだが。

だからショートカットで時間が効率的に使えるとかは、もうすでに考える時間を終えて、そのあとの作業でできるというだけであって、それほどそこの作業は効率化とかやっても時間的な速度に影響はない。確かに、その状況まで行けば自分なら速くやれるとかいう意識が助けになるということがないわけじゃないだろうから、全く無駄ではないとは思うが、大した役には立たない。それ以上に必要な心構えとか、準備みたいなものがあって、ショートカットを覚える時間でそっちを覚えておいたほうが良い。大して考えなくてもできることなんて限られているし、それでオーケーとしてたら結局作業だけしかまともにできない、考えられない脳にしか育たない。頭を鍛えるのを怠らず、下手に繰り返す作業を苦痛に感じるくらいじゃないと、罰としてうまく働かないので、成長のきっかけにもならない。繰り返しをショートカットで効率的にこなしては本末転倒になる。つまり、下手にショートカットで効率化したら、自分の人間として必要な能力が潰れていくということもあり得るということが言いたい。

自分をスクリプトみたいに動かして何かを作ろうとかしないほうが良い。そうではなく、いかにそういう繰り返しを避けて、考えることに時間を使うか、考える時間は何かを生み出すだけではなく、その繰り返しを避けるためにも使うべきだ。どうしても避けられないとなったら、しょうがないから手作業でそれをやるしかない。それを苦痛に思えば、必要は発明の母、発想の転換が起こったりもする。

完全に諦めて、ショートカットで自分の作業効率を最適化とか愚の骨頂だ。それよりもバッチファイルでそれができるようにならないか、次に同じようなことが起こった時、それを避けるための良い方法はないか、色々考えたり、調べたり、あきらめずその作業が終わっても追いかけ続けるくらいの執念が必要だ。ものすごく頭のスペックが高くていきなりその道が見える人もいるだろう。そういう人は別にショートカットキーを駆使しているわけではない。それでも尋常じゃない作業速度で物事を終わらせらている。自分の頭に自信がないなら、そういうやり方を見て学び、調べて血肉に変えていくことだ。

ショートカットが使えるのはわかりきってやり続けたことだけ、初めてのツールではまず意味がないし、変な癖が出て間違いが起きて、余計ひどい効率になってしまう。つまり同じツールしか使いませんという人しかそういうのを間に受けてやってはいけないということ。自分は画像系のIllustratorやPhotoshopしか使いません、というならそういう割り切ったこともできるだろうが、そうじゃなければそのソフトだけで最適化するのはやめたほうが良い。


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増井 俊之

3/28/2016 08:12:00 PM