結局クラブ系音楽の最高峰はINORANの想だった件



もちろん個人的にという話。何となく魅力的な楽曲をLUNA SEAの時代から一人でコツコツと作り続けてきたINORANだが、その結晶というか最高の科学反応としてできあがった奇跡のアルバムが「想」である。タイトルからして極まっているしジャケットの写真も素晴らしい。

同じ時期にSUGIZOもソロアルバムを出していたが、音は綺麗だが、ドラムンベースでブワーっとした内容で、何というか壁にペンキをぶちまけたアートに近い。一方、INORANはタイルを一枚一枚貼り付けて描くタイルアートの傑作のような感じだ。DJ Krushのトラックがとにかく最高の食い合わせで、暗黒の沃野のような雰囲気が漂い、その中でボーカルが色彩を放ち、ギターが輝きと艶を与える。

河村隆一が歌うキモさが全くなくなっているので楽曲の良さのみで聴ける。

色々とクラブ系の音楽を聴くも、このアルバムを超えるものは聞いた事がない。Krushのアルバムでも存在しない。シンプルなのはもちろんそうなのだが、それ以上に選ばれ配置された要素のセンスがとてつもないのだ。ボンヤリ、ふんわりとクラブ系の音楽と言ってここに到達する音楽はあり得ない。INORANのセンスとKrushのセンスが最高に絡みあった、というかあの二人以上の組み合わせを未だ知らない。もちろん、INORANが歌っている楽曲以外は捨て曲ない。(後に歌い直して何とか聴けるようになったが)

最初「クラブ系の音楽」というのを聴いた事が無かったので、これがクラブ系か、と素晴らしいものを見つけたような気分になったが、これが基準になってしまい、その後、いくら良いと言われる「クラブ系」の音楽を聴いても全く響かなくなってしまった。しかも、なぜこっちの方が優れているか全部に理由がつけられるから困ったものだ。

暗くうねるビートに痺れるようなコーラス音のギターが銀色に響き、声量豊かな外人女性歌手が素晴らしい声を絡ませるという美味しすぎる構成、また、ラップは荒廃としたビル群の片隅を思わせるノイジーなビートを美しいギター音で救い、その中をぬうようにラップが疾走していく……言葉で書いてもうまくいかないので聴いた事ない人には聴かせるしかないが、こんな微細な感覚を検知できるかどうか謎だ。

3/25/2016 10:05:00 AM