ブログはすべて個人的なWhole Earth Catalogueを目指して更新すべし

ブログを更新するのは、まあ無理のない範囲で。趣味だから、楽しめるというのが一番だ。苦行にならない程度に楽しんで更新しよう。しかし、その最終的なゴールは個人的なWhole Earth Catalogueではないかと思うのだ。

Whole Earth Catalogueというのは、大昔、今から四、五十年も昔に、ヒッピー達のバイブルとされていた本で、体制側に歯向かっている人たちからバイブルのような扱いを受けていた。心理学、東洋思想、生物学、工学、ありとあらゆる学問の書籍等が網羅された、ウィキペディアか、Google先生の昔バージョンのメディアみたいなものだ。

そこで取り扱われた思想が現代のコンピュータの礎となっていると言われる。というか、ジョブズその雑誌の影響をモロに受けて作ったコンピュータがMacintoshだ。だからその雑誌が無ければ今のコンピュータの質、考え方が全く違っていた可能性が高い。

思えばこのブログというメディアは自分でそのWhole Earth Catalogueを作ろうという試みに近い気がする。PDFが購入できるので、最終刊を買ってみたが、まさに超優良な書評サイトのような内容で、三カラムのレイアウトにギュウギュウと濃い内容が詰め込まれて数百の書籍の紹介がなされている。この本は以下のフィルタを通して選ばれたものだ。

(1) Useful as a tool,

役立つ道具である

(2) Relevant to independent education,

自主的な学習に繋がる

(3) High quality or low cost,

ハイクオリティー、またはローコストである

(4) Easily available by mail.

郵便で手軽に手に入る

理想に輝き、世界を変えてやるというやる気に満ち溢れている、その思想をアメリカのハッカー達は受け継いだ。

西洋の思想プラス、アメリカのフロンティアスピリットの結晶のような雑誌だったのだ。今やそれをウェブが実現しているのでそれほど目新しい概念ではないが、しかし、当時の知能の高い人々が熱狂した思想がそこにはあったし、その方向に行こうと動いた結果が今のコンピュータや、インターネットを作っている。儲けるのが難しい、大学のサークルか研究室みたいな空間、ひたすらに好きなものを作って発表する自由を享受する空間、そういう世界を目指すきっかけとなったのがこのWhole Earth Catalogueという雑誌だったのだ。多分。

人は皆知識を持ちたいという純粋な欲がある。もちろん人によってその欲の強さは違うが、食欲、性欲、物欲、承認欲、知識欲……一個が突出して強いと、他の欲求を圧倒する。この知識欲の強さで金メダルを取る人というのがいて、そういう人(スチュアートブランド)がこの雑誌を作り出したのだ。同じような知識欲の強い化け物みたいな人々がそれによって発火した。別に韻を踏みたいわけではないが、このWhole Earth Catalogueを書いたスチュアートブランドはハッカーの始祖と言われている。

デジタル世界のパラダイムシフトであるMacintosh、iPhone、iPodなどを作り出したジョブズを焚きつけた教祖。今となっては内容に間違っていたことも多いだろうが、それでも世界の全てを知りたい、解析したい、思い通りにしたい、そういう思いで作られたものは、コンピュータと、ソフトウェアの考え方と何も違いがない。本当に人に違和感なく、スタンダードになるものに時代というのは関係ないのだ。すべてはこの根本的な原理から継承されたものであれば問題ない。何の脈略もなく生まれるものももちろんあるだろうが、それは時間と共に淘汰される可能性が高い。脈略の中から導き出されたものには時代を先駆けているように見えるものもあるだろうが、結局はポッと出の突発的なクソアイデアではなく、それはスタンダードだから新しくも当たり前のものとして生き残るのだ。

そして最後に有名な言葉でこの雑誌は締めくくられる。

Stay hungry. Stay foolish.

空腹なままで。愚かなままで。

「コースを一周まわって」一通り書籍の紹介を終えた最終刊の言葉ということだが、最高に感動的なのは、その前のページの写真があるからこそだ。

そう、地球を一周まわって、太陽がまた覗いた瞬間にこの言葉なのである。沈んでいく太陽もどこかの朝焼けだ。そして、ヒッチハイカーがこれから旅立ちそうな、早朝のアメリカの田舎道……世界の流転、高揚感を見事表現しているし、これほど強く感動的なものも少ない。何かを目指している人々、全ての象徴と言える。

ブログはこの知識欲と、自分の内面とを同じように誌面(画面)に表現可能である。だから、同じような感覚を継承して書いていくのが良いのでは無いだろうか。具体的には上記の「フィルタ」を自分なりに作って、それを通して紹介だの言及だのやってみると、幸せになれるかもしれない。今なら通販にアマゾンが使えるし、自分の見ている世界を全部カタログ化するつもりで書き出しまくってみるということだ。そこを目指さずにブログでコミュニケーション(笑)とかやってもしょうがない。まっとうな使い方、理想を体現する使い方は、まさにこのWhole Earth Catalogueの中に全て入っている。中身は高尚でも低俗でも良いが、そういうものの一端に自分はいると考えると高揚してくる。……しないならやめたらいい。強制されたものでは無いから。

3/31/2016 11:00:00 AM