最小構成の物語

まず◇という状態があり、それが何かの事件によって、△という状態になった、というのが最小構成の物語だ。

しかしこれだけでは読者の興味を惹くことができないので、そこに悲劇、喜劇、覗き、共感、知識、愛玩、実話……などのふりかけをまぶして、人を喜ばせる味付けをする。しかし、これも、絶対こういう味付けにしなければならない、というものではないので、あれば良い程度でとりあえず何か書いておく。

まずは何がどうしてどういう変化をしたのか……ここが書けないとどうにもならないというのはわかる。何がどうなれば嬉しいのか、書けそうか、それを自分の中で作っておくべきだ。

ブログと一緒で、ストレス発散のために創作をするということだから、この行為がストレスになるようなことになってしまうと問題だ。だから、ゴミを作るつもりで、なんでも良いので書き始めるというのがいい。

まずは基本的なところを抑える意味で、男の子が魔王を倒して村の勇者となった……という話を考えたとする。次に興味を惹くためのふりかけだが、この当たり前の状態を変化させることを目的とする。そう、ふりかけは最終的な到着点を惑わす効果をもっている。意外性を添加するような感じだ。

最初に予想していたことをそうだそうだと盛り上げて、実は本当の味はこれー、みたいな手法のためにふりかけは存在している。

だからミスリードを狙う手法が役に立つのだ。当たり前で最低限の流れを作って、それに対して読者が誤読するためのふりかけを添加する。先の勇者村の男の子の場合、魔王は世界を支配していると思わせておいて、実際は村長が作った迷信だったことにする。盛り上げて行って、結局は嘘でした、的な方向でいくのが手軽で良い。意外性が出せればそれで良いのだ。嘘でした系の最悪の手段として夢オチというのがあるが、一番てっとり早い意外性は出せるものの、何度も繰り返し使われた手法なので嫌がられるし、これを一度でもやったら作家は二度とまともな評価はしてもらえなくなると思ったほうが良い、呪いの技だ。物語は物語で決着をつけるべきなのだ。夢オチに見せかけて、何も解決しなかった、錯乱した妄想というのでもアリだがこれも多用が許されない手法の一つである。

きっちりと物語の流れで意外性を作れないなら、なんでもありになってしまうし、力がつかない。単に突飛な発想のパレードでよくなる。後頭部から根が生えて布団から出られない少年がマントルに根が到達してそこからアンゴルモアの大王として世界を支配して……とか、夢でしたと言われても、はあ、としか言いようがない。


300字小説の書き方入門 ~目指せ文章力アップ~
川俣晶

4/29/2016 07:53:00 PM