バリエーション豊かなのが豪華で素晴らしいという勘違い

バリエーションが豊かというのは一貫性がないということだ。人は一貫性によって非常に強い魅力を感じたり、進んで知りたいという動機が生まれたりするものだ。なぜマクドナルドがコカコーラを仕入れるか、そして世界のどこでも同じ味を提供するか。

それはその一貫性の魔力を使うためだ。ジョブズが生きていたころのAppleもこの一貫性の魔力を誰よりも利用していた。iPhone、iPad、iPod、MacBook、iMac、Mac mini……製品のバリエーションも考えらる限り最低限に絞っていた。やはり人の行動心理というのを研究し尽くしていたのだろう。更新するのはそれらのどれかだけという一貫性、ミニマリストであることもそうだが、それは一貫性の魔力を突き詰めていくと、結果として無駄なものを捨てて、シンプルにしないと続けられないということに気づくからだ。

人は数万種類の組み合わせのパスタが「どうしても」食いたい、とはならないが、あの店の、あのシェフの作るペペロンチーノがどうしても食べたい、となるものなのだ。それが、どこにいっても再現されている、となると変なパスタに挑戦して失敗するよりはそれを望むようになる。

しかし、この変わらないという強さは変わった瞬間に潰えるので、Appleにこの魅力はなくなった。まるで魔法がとけるように。

4/06/2016 08:02:00 PM