メイズランナー期待を裏切らないつまらなさ

多分つまらないんだろうな、と思ってやっぱりつまらない映画というのがあって、そういうのは観る価値がないかというとそうでもなく、金を払って映画館で観るというのはオススメしないが、特にやらなくてはならないこともないが、やりたいこともそれほどない、みたいな感覚の時に、暇つぶし程度にみるにはちょうど良かったりする。

また、何かを作ろうと考えているなら、そういうつまらないんだろうな的なものがなぜつまらないか、その欲求不満な感覚をもとにして何か面白いアイデアを考えてみるのも良いかもしれない。「俺ならこうする」的な感覚が高まるいいチャンスとして使えるだろう。

今期だとメイズランナーだった、なんとなく面白くなさそうだなという感覚は抱いていたが、その通り、かなりいい線で面白くなかったので、ここに記しておこう。もちろん一、二、両方観ての感想だ。特に二はもうメイズ(迷路)関係ないし、まあ最初から迷路なんてただの記号としてしか扱ってない感が満載だったから、つまらない原因はまずここにあるのは間違いないだろう。

このつまらなさを払拭するには多分、迷路をちゃんと描かないとだめだと思う。閉まる~、ああ、ギリギリ挟まれなかった、よかった。の連続しかないので、面白くないのだ。謎が場当たりじゃなく、しっかり提示されることで、少しずつ解けていく感覚が必要なのに、勢いと偶然でなんとかなっちゃうのが問題である。折角の設定が台無しだろう。

あと、免疫のある子供達を集めて何で迷路でビビらせていたのかということに関して説得力のある回答が三で(三部作らしい)明らかになるのかもしれないが、犬は叩けば美味くなる的な隣国の発想と同じじゃないことを願ってやまない。

二はもう論外で、単なるゾンビ相手の鬼ごっこになってしまっている。一で何で大がかりな装置とロボット的なものを使ってこのゾンビウィルスをお注射されてたのかさっぱりわからないが、それも納得のいく答えが三で出るんだろうなあと、いまから楽しみでしょうがない。ニヤニヤ生暖かい目で見守ろう。

酷い駄作だが、映像は基本的にハリウッドのブロックバスター映画なのでなかなか凄いので、細かい設定とかどうでもよくて、単に追いかけっこみたいなスリルが楽しみたかったら別に悪い映画ではない。話は期待を裏切らないつまらなさなので、そこに期待して、まあ、映画を多少見る人はジャケット見た瞬間にお察しだとは思うので、こんなところで注意を促さなくてもいいだろうが。

では、メイズランナーはどうなればよかったのか、まず、本当に殺されるという恐怖をあおる迷路で必死になる姿を喜ぶ人がいなければあんな空間が用意されるわけはないので、そういう視聴者が必要になる。莫大なコストをかけて作るだけのスポンサーだ。太陽で焼けた地上と、ゾンビウィルスに侵された瀕死の人類、という、それだけのコストをかける意味が見いだせない説得力のない設定を何とかしないとどうにもならない。根本的にダメ。思いつきでその場しのぎすぎ。莫大な予算がどこかから出ているとなる、その予算を出してまで楽しむ人たちのモチベーションが謎すぎるのだ。

別にメイズランナーを批判してもどうにもならないのはわかっているし、こういうものだとわかって観たわけだが、自分が何か物語を書くとなった場合注意しなくてはならないことがてんこ盛りで出てきているので、かなり楽しくなってくる。それを再認識するためにあえて書いておこうということだ。あしからず。

で、予算を出してまで楽しむ人たちは、新薬開発でそれを利用しているとのこと。そうなった場合、新薬のために必要な、大切な抗体を持つ少年達を皆殺しにするような迷路がなぜ作られたのかが謎になってくる。整合性が取れるとしたら、お隣の国でやられる、犬は恐怖によって味がよくなるから、できるだけ痛めつけて食べようという発想。つまり、恐怖を与えることで脳内で脳内物質が生産され、これが純度の高い抗体物質を生むきっかけになる……とかなら簡単に予測できるが、それなら、なんでわざわざゾンビウィルスを打ち込んで殺すのか謎だ。ウィルスを消すためのワクチンもあるみたいだし、それを使ったら記憶が戻るそうだし、色々謎があるが、どの謎も解きたいと思わないくらいその場で作った感が満載なので、手の出しようがない、というのが正直な感想である。

たとえば、ハンガーゲームみたいに罪のある子供達を戦わせてそれを見世物にする、みたいなノリだったら、まだわかる。スナッフビデオ兼、処刑兼、エンターテイメントというので誰かの欲がわかりやすく設定されているからだ。クリムゾンの迷宮という日本の小説でもその手法がとられていて、非常に面白かった。迷路を出ることに何のご褒美もなさそうで、賞金があるわけでも、明確な目的があるわけでもない全員記憶消されているし。単純な好奇心以外、迷路に向かう保証がないという、わけのわからない状況。それでも人は迷路内を探査する、ということでやっているのだろうか、よくわからない。

しかし、これだけのことを考えていたら話にならないのもわかる。単純に酷い仕打ちや、挟まりそうなギリギリの状況を楽しむハラハラドキドキアクションとして、こまけえこたあいいんだよ的に作られたんだろうなと。だったら下手な設定は無しでシンプルにスナッフビデオとして楽しめるように作られました、みたいなので良いと思うんだが。実験調査とか、そういう名目にしないほうが良いと思う。もしくは罪人の流刑地みたいな……しかし、そうなったら少年・少女だけというのが意味不明だから、やっぱり下手な設定はやめて、どうやって潰れましたというのだけを淡々と描くゲーム的な話で良いと思う。むしろ、誰かが見てるとかも必要なくて、自分が楽しむために始めただけなので、辻褄が合わないみたいなことでもいいかもしれないが、それだと夢落ちになるので、そうならない為に伏線が必要かもしれない。


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クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介

5/01/2016 03:51:00 PM