物語の練習カチカチ山

タヌキに畑を荒らされて困っている爺さんがいた。ある日、タヌキを捉えようと罠を仕掛けた。夜が明け、畑に行ってみるとタヌキが罠にかかっていた。喜んだ爺さんは「今日はタヌキ汁じゃ」と言って泣き叫ぶタヌキを家に持って帰った。婆さんにタヌキを預け、爺さんは畑仕事に出かけた。爺さんがいなくなると、タヌキは婆さんに泣きついた。

「どうか助けてください、もう二度と畑を荒らしませんから、ここを離れて遠い場所に行きますから」

その叫び声があまりに悲痛なので、婆さんが縄をほどいてやるとタヌキは大喜びしてお礼を言って去って行った。婆さんが台所に戻ると後ろからタヌキが杵で婆さんを殴り殺してしまった。

爺さんが畑から帰って来ると婆さんがタヌキ汁だけ置いてどこかに行ってしまったようだ。先にお召し上がりくださいと、妙に下手な字で書いてあるので、とりあえず汁を食べることにした。半分ほど食べたあたりで、窓からの視線に気づいた。窓の外からタヌキがニヤニヤ笑いながらこちらを見ている。

「やーい、ジジイがババアの婆汁飲んだ、婆汁飲んだ」そう叫びながら逃げていった。

残された爺さんは半狂乱になり、しばらくして仲の良いウサギを訪ねた。わけを聞いたウサギはタヌキを許さない、成敗してやると爺さんに約束した。しかし、ウサギは腕力ではタヌキに勝てない。そこで作戦を立てることにした……それから何日かして、ウサギはタヌキを訪ねて行った。

ウサギは金儲けを口実にタヌキを柴刈りに誘った。一通り柴を刈り終えると、タヌキを先に歩かせて背負った芝にカチカチと火打石で火をつけようとした。「何やらカチカチ聞こえるな」タヌキが言うと、ウサギは「ここはカチカチ山と言われてまして、そういう不思議な鳴き声の鳥がいる山なんです」と言いながらタヌキの芝に火をつけた。しばらくするとタヌキは自分の背中が燃えているのに気づき駆け出した。そして、川に飛び込んで一命を取り留めた。「大丈夫ですか、きっと猟師の燠火が柴に紛れ込んでいたのでしょう」そう言ってウサギはタヌキを介抱しながら家に連れ帰った。

背中の火傷でタヌキが動けずにいるところに、ウサギが現れた。「タヌキさんこの味噌を塗れば、火傷によく効くそうですよ」とカラシ入りの味噌をタヌキの背中に塗り込んだ。タヌキは絶叫してのたうちまわった。しかしウサギは「これは良い薬ですから、痛いですが我慢すればすぐに治りますよ、それともタヌキさんともあろうお方が、この程度の痛みで根をあげるのですか」そう言われると、タヌキも威厳を保つため、我慢するしかない。ウサギはカラシ味噌をどんどんすり込んでいく。やがて、あまりの痛みにタヌキが気を失うと、ウサギは帰っていった。

タヌキの背中の火傷が癒えた頃、またウサギが訪ねてきた。今度は海に行って魚を釣って儲けようと誘いに来たのだ。タヌキとウサギは海まで出かけ、ウサギが用意した船のところまで来た。小さな木の船と、大きな泥の船がある。欲張りなタヌキは大きな船なら沢山魚が獲れるだろうと、泥の船を選び、海へ出た。ウサギの想定通りだ。沖まで来ると、タヌキの乗っている船の様子が何やらおかしい、突然足場が抜け、中に水が入ってきた。ボロボロと崩れる泥の船、「た、助けてくれー」とウサギの船に手をかけようとしたら、ウサギはその手を持っていた魯でひっぱたき、タヌキを何度も突き、沈めてしまいましたとさ。

……この話の要になっているのは、タヌキの欲深さだろう。柴刈りにいくモチベーションが何か思い出せなかったが、儲け話に乗っかって来るという特性を利用して罠に嵌めるというのが一貫している。爺さんの罠にも欲を刺激する何かの仕掛けがあれば伏線的に利用できそうだ。あとは、ウサギをナメているというのも重要だ。カラシ味噌を塗られても我慢する理由を作らないといけないが、それはウサギが「僕でも我慢できましたよ」というセリフを言えば良さそうだ。男らしさのアピールが必要である。しかしこのタヌキ、婆汁を作って爺さんに食わせるとは、まるでレクター博士のようだ。

5/06/2016 06:14:00 PM