モンテッソーリとジョブズ

モンテッソーリ教育という教育方法がある。もともとは障害者用の教育として考案されたものだったが、しばらくすると健常者よりもモンテッソーリ教育を受けた障害者の方が出来ることが多くなっていることに気づき、一般的な教育として広まっていった。

グーグルの創業者もこの教育を受けて育ったことで有名で、MITで学ぶよりも多くのことを学んだというインタビューも残っている。グーグルの元になる考え方でもあると言える。

モンテッソーリ教育の内容はいたってシンプルで、別に魔法の教育というわけではない。数学を重点的に訓練するが、それだけではない。真骨頂は、「敏感期」というものである。

敏感期とは原始時代から人類が積み重ねてきた身体的記憶の発現のタイミングである。現代生活においては原始時代の行動は問題にしかならないが、胎児が水中から陸に上がる進化を胎内でする時につわりが発生するように、人も原始時代から文明世界に変化する時に思春期を迎える。精通や初潮と思春期が同期してない理由は脳の進化に関係があるからだ。

子供の時から人類史をなぞるようにこの脳が備える関数(ファンクション)が発動し続ける。この関数が病気やアレルギーによって動かない場合に発達障害が起こる。つまり、うまく関数が動くようにしてやることで、脳は本来の動きを見せるようになる。もちろん個体差があるので、関数が動いたからといって皆がイチローや清原になれるわけではないが、優秀と言われる人程度にはすぐに到達出来る。

極度の甘やかしや、虐待を受けるとある瞬間からこの関数が変調し、シリアルキラーに変貌するというのが最近わかるようになったそうだ。原始を生き抜くために備えた暗い関数の記憶を蘇らせるのだろう。

ところで、ジョブズが亡くなってからのAppleはひたすらグーグルの後を追いかけ続けているが、それはなぜだろうか。

ジョブズはかつて「人類が残した偉大な発見や発明から学び、盗み、センスを磨く」ということを言っていた。このことに気づいたというだけでも天才的なものを持っていたのだろうが、相手がどんなに強くとも有無を言わせない交渉力や、指針を持ち、指導が出来るとてつもない能力の持ち主だった。それをどこで培ったのかはわからないが、もしかしたらLSDをキメすぎたからか……しかし、先の人類が残したセンスを盗むという発想は、モンテッソーリが目指す、人類の積み上げた関数を利用するという発想とほぼ一緒であり、人間が最高のパフォーマンスを発揮するための唯一の方法だ。

つまり、優秀な指導者を失ったAppleはかつての指導者と似たような発想で衰えを見せない天才に擦り寄るという方向にシフトしたと言える。十年後のスタンダードを目指して走ろうとする天才は今やグーグル以外にいない。

子供が持っているとんでもない能力は適宜関数を解放するという方法で各個人に行えば可能になる。IQ二百に近い子供達を大量に作り出したアメリカ教育がこれをやっている。重要なのは、「敏感期」というものを見誤らないということ。それはイタズラのように見えるが、脳の関数を強化しようというタイミングということだ。そこを押さえつけると学習性無気力状態という状態が作られる。日本の文化はこの無気力を作るのに向いていて、見た目同様、ドワーフ的な精神を作り出す。知の巨人はまず受け入れられない環境だ。ドワーフの王になるか、思う存分大きくなりたいなら海外にわたるかしかない。

5/11/2016 09:24:00 AM