物語の願望

まずは主人公に願望があり、その願望を邪魔する障害がある、それをどう乗り越えるかが話の醍醐味になる。

望みを抱くが簡単にはかなわない。たらい回しにされ、邪魔が次々あらわれた挙句、ピンチに陥る。一度の邪魔で諦めるようなキャラでは話にならないので、どんな困難でも立ち向かっていく、決してあきらめない人物描写が必要になる。熱血でも冷血でもなんでも良いが、目標に向かって進むのを絶対やめない、意志の強いキャラでなくてはならない。

普通、こんな事になったら諦めるだろう、という場面で諦めないキャラはそれなりの説得力ある理由が必要で、キャラというのはそのために作るものである。突飛もないキャラや、定型を踏襲するだけのキャラが多いが、そうではなく、絶対それだけは諦めないという性格からキャラを作れば、なぜかを答えるだけで、立派に面白いものになるのではないだろうか。

過去のトラウマや、そこに至る経緯すべてが、その願望を諦めない姿勢に向かって動いていて、どんな邪魔が入ろうとも諦めず突き進む。絶対無理だという状況でも諦めないのはそれなりの強烈なエピソードが必要だ。もちろん成り行きでそうなったという場合もあるが、その願いが叶えば確かにそれだけやる意味もあるよな、という説得力が必要になる。

願望を叶えることに説得力を出すには、キャラ自身がその願望について否定の肯定を行う。つまり「人はこういうだろうし、自分でもバカだとは思うがどうしてもやりたい」と、客観性があって、こう言われるだろうなという否定的な意見も了解した上でなお、やっぱりやろうとする事で、読者もよくわからないまま、そうか、どうしてもやりたいんだろうな、と説得される。他のキャラがそれを否定する場合も有効であるが、自分でわかっていた方がより説得力が増す。

いきなり海賊王になるとか言われてもピンと来ないが、「男子はね――誰でも一生のうち一回は地上最強ってのを夢みる。程度の差はあるけどね。これは誰でも見るけれど誰もがそれをどこかであきらめてゆく。兄弟喧嘩に敗けたとき、ガキ大将に出逢ったとき、父親の拳骨の痛さを知ったとき……九九.九九九九九九九……ぐらいの人達は途中で他の夢にいっちゃうんだ。けれど、ほんの一握り……何があっても誰に出逢っても、大人になっても決してこの夢をあきらめない人達がいる」と言われた方が、そうか、最強を目指しているんだなと実感できる。

邪魔こそ醍醐味と立ち向かっていく主人公に面白味があるのだ。

5/05/2016 05:28:00 AM