美味しいストーリーの作り方

なんか表題と似たような本があった気がするが、それとは関係ない。ストーリーが作りたいなら何を表現したいかをまず決める。その表現物はなるべく身体的な事に関係する事、つまり欠落、復讐、恋愛、欲求などの本能的に満たしたいと思えるところから始める。いきなり壮大さとか清涼感とか、具体性を欠く内容から始めると拡散して消えてしまう。たんに面白さが作りづらいのだ。相当に慣れた作家でも難しいテーマになりがちなので、初心者はパッとわかるわかりやすさ、ベタさ、下世話なほうの話から攻めていくのが良い。そしてチャンスがあれば壮大さや清涼感だとかのぼんやりしたものを織り交ぜるくらいの感じでやれば良い。

世の中に溢れるお話の作り方というのはこの「本能的に満たしたいもの」が既にある人が取っ散らかった内容をそれなりに「お話」の体裁として整えるためにどうするかという部分に終始する。しかし重要なのは何を見たいか、何を面白がりたいかという部分である。その自分が興味のある面白そうな部分があれば構成が下手でも、文章は下手でもいい。

自分が興味深いものさえあればこれまで全く完成まで漕ぎ着けなかったあの壮大で広大な名作になる予定の物語を別の形で完成させることが可能になる。完成できないと名作なんて生まれない。いきなり名作が生まれることは無いし、最初に完成させること以外に無駄なハードルを設定するのは愚行だ。完成できないだけでなく、二度と書けなくなるだろう。

だから何も考えず自分が体を前のめりに聞き入ってしまう事をベースに話を作り始めるのが良い。気になって仕方ない事、そういうものじゃないと小手先のテクニックに頼って面白さをでっち上げようとしても自分自身つまらないし、精度も低くなってしまい、途中で嫌になり、未完になる。美味しい部分が本当に好きな人とズレているとすぐバレる。絵が上手くても同人漫画で成功しない作家がいるのはその美味しい部分がわかってないからだろう。

言い方を変えると、その美味い部分が自分でわかることをお話にしなさい、ということである。それは真面目からエロから何万通りもあるし、個人差の激しいところなのでここでの指示は不可能である。

確実に言えるのは皆が望んでいるものは何か考える、というのは二の次三の次で、自分が欲しくて仕方ないもの、常に考えたくなること、美味しさがわかる事で勝負せよという事である。少なくとも最初は。売れたら売れる方法を考えれば良い。まあそんな分析をしてもほぼ百パーで失敗するだろうが。

売れるかどうかはまた別の話で、そこに共感者が多ければ売れるものになるが、さらに時代の流れ、マーケティング、売り方も関わってくるので一概には言えない。何にせよ完成しなければ商品にはならないので、最初は作り終える以外何も考えなくて良いだろう。そして作り終えるには美味しさのわかる題材しか無い。

その感覚的な美味しさを物語を通じて相手に理解させるのだ。そのときの手法はいくらでも世の中に溢れているが、自分にわかる美味しさとは一体何か、というのはどこにも書いていない。作家と一般人を分けるのが、何をどれほど美味しいと思い、どれだけ吐き出したいと望むかということだ。美味しいと思うことは誰でもあるが、それを外に向けてさらに自分が美味しいと思えるように改変して原型をなくして出力したいと思っている者が唯一作家への切符を手にする。改変無くして単なるコピーはリツイーターやタンブラーと同じで作家ではない。自分が美味しいと思える物をひたすら真似たり改変したりしながら最高になるように作るのだ。

5/01/2017 08:18:00 PM